預言者ムハンマドは次のように言われている。
「真のムスリムとは、その口から、その手からムスリムたちの安全がもたらされる(彼らが害を受けることのない)人のことである。真の移住者とは、アッラーが禁じられたものから遠ざかり、それを放棄する者のことである」
理想的なムスリム
ここではこのハディースを簡単に分析してみよう。
〔アル・ムスリム〕(イスラーム教徒)の語の初めにアラビア語の定冠詞である〔アリフ・ラーム〕がある。さらに後の「アル・ムスリムーン」(イスラーム教徒たち)の語の初めにも定冠詞がある。これらの文字は私たちにあることを示しているのである。すなわち、理想的なムスリムとは、真に平和と信頼の雰囲気の中に入り、その雰囲気に自らを溶け込ませ、そして彼自身のような他の真のムスリムたちに対して、口からも手からも害を与えることのない信者のことを言う。イスラーム教徒のように見えるとか、自分でそう言っているとか、身分証明書でそう書かれているとか、そういう人のことではない。誰もがそうであると見なすことのできる真の理想的なムスリムについて述べられているのである。
ムスリムと聞いて最初の頭に思い浮かぶのは最も完成された意味のムスリムのことであり、このハディースで述べられているのもそのようなムスリムのことである。
一人の人間が、このような言語上の細かい部分を知ることは不可能である。これは、言語学や文法学を学ぶ事によってのみ可能となる。しかし預言者ムハンマドには、そのような教育を受けられる機会はなかった。このことからも、そのお方の語られたことは御自身からのものではなく、アッラーが語らされたものを語られているのだということがわかる。
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